つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗

【三部作・第二話】なぜバレる?妻の「へそくり金庫」に税務署が目を光らせる理由

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【三部作・第二話】なぜバレる?妻の「へそくり金庫」に税務署が目を光らせる理由

【三部作・第二話】なぜバレる?妻の「へそくり金庫」に税務署が目を光らせる理由

2026/06/10

第一話では、マスコミ関係にお勤めだったご主人の高い年金から、亡くなられた奥様がコツコツと貯められていた「自宅と貸金庫の現金(計約1,500万円)」のお話をしました。

ご主人は、「あの金庫は妻が管理していたものだから、すべて妻の財産だ」と言い切られていました。長年、家計を完璧に守ってくれた奥様への敬意が詰まったお言葉です。

しかし、ここに相続の実務における「最大の落とし穴」があります。家族の認識がどうであれ、税務署はまったく別の基準でその現金をジャッジするのです。

今回は、なぜ家族の思い込みが通用しないのか、プロの視点から解説します。

「手元にある現金だからバレない」という大誤解

「でも江川さん、銀行口座に入っていない『現金のタンス預金』なんだから、言わなければ税務署には分かりっこないでしょう?」

そう思われる方も非常に多いです。実は、相続税の税務調査で最も指摘されやすいのが、まさにこの「タンス預金(手元現金)」や「名義預金」なのです。

税務署は、亡くなった方やその配偶者の「過去10年〜20年分の収入(給与や年金)」を驚くほど正確に把握しています。国税局のシステムは非常に優秀で、次のような「引き算」を自動で行っています。

「このご家庭の収入なら、これだけの資産が残っているはずだ」という予測を立てる

実際に申告された遺産や、現在の銀行口座の残高と比較する

「予測よりも、手元の残高が明らかに少なすぎる。どこかに現金で隠れているか、別の場所に移動しているはずだ」と目星をつける

今回のご主人のように年500万円もの高額な年金や、現役時代の高いお給料があった場合、税務署は「もっとお金が残っているはずだ」と最初から網を張っています。本人が「数えたことがないから実態が分からない」と言っていても、税務署は過去の通帳の「不自然な現金の引き出し履歴」などを1つずつチェックし、パズルを合わせるように現金の存在をあぶり出してくるのです。

貸金庫の利用履歴まで調べられる

さらに、奥様が利用されていた「銀行の貸金庫」についても同様です。

人が亡くなると、銀行はその口座だけでなく貸金庫も凍結します。家族であっても勝手に開けることはできなくなります。 そして税務署は、その貸金庫を「過去にいつ開閉したか」の履歴まで調べることができます。「亡くなる直前に頻繁に開閉しているな」といった動きがあれば、当然、中に何が入っていたのか厳しくチェックされることになります。

家族にとっては「お母さんが頑張って遺してくれた大切な遺産」。 しかし、それをそのまま通そうとすると、後から税務署に「申告漏れです」と厳しく指摘され、余計な税金(加算税など)を支払う羽目になりかねないのが、相続の恐ろしい現実なのです。

家族の「不安」を解消するために

「良かれと思って遺した現金が、逆に家族を困らせてしまうかもしれない」

お話を伺っていた長女様も、この実務の現実に驚き、そして一気に不安そうな表情になられました。 ご主人自身も、正確な金額を数えたことがないため、一体自分の家族の財産が今どういう状況になっているのか、混迷を極めてしまったのです。

しかし、このピンチをきっかけに、多くを語らなかったご主人が「ある素晴らしい決断」を下されます。

次回の最終話では、この「何が何だか分からない不安」を、ご家族がどのようにして「最高の安心」へと変えていかれたのか、その結末をお話しします。

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