つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗

【雑学教室その②】昔の戸籍は「超ビッグファミリー」!?驚きの明治戸籍

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【雑学教室その②】昔の戸籍は「超ビッグファミリー」!?驚きの明治戸籍

【雑学教室その②】昔の戸籍は「超ビッグファミリー」!?驚きの明治戸籍

2026/06/25

前回の「変体仮名」のお話、いかがでしたでしょうか?「街の看板を見る目が変わった」「意外なところに歴史が残っているんだね」といったお声をいただき、とても嬉しく思っています。

さて、大変ありがたいことに味を占めまして、さっそく第二弾をお届けしたいと思います。今回も、私の本業である「相続」の現場から、知ると誰かに話したくなる昔の戸籍の雑学です。

出生から死亡まで、すべての戸籍を集める大仕事

私たち行政書士は、相続の手続きをご依頼いただくと、まず何よりも先に「亡くなった方の出生から亡くなるまで」の戸籍をすべて集めるという、非常に重要な作業を行います。これは、法律上の相続人が誰なのかを1人の漏れもなく確定させるために、絶対に欠かせないステップです。

現在、80代や90代といったご年配の方が亡くなった場合、その親や祖父の代まで遡ることになるため、大正時代や、時には「明治時代」に作られた戸籍(除籍謄本など)を読み解くことになります。

この明治時代の戸籍が、現代の私たちが市役所で手にする戸籍とは、仕組みも中身もまったく違っていて、めくるたびに「へぇー!」と声が出てしまうような驚きに満ちているのです。

今の戸籍は「ミニマム」、昔の戸籍は「超メガ盛り」

まず、現代の戸籍のおさらいをしてみましょう。 今の戸籍は、基本的に「夫婦と、その未婚の子」という、最大でも2世代の家族単位で作られていますよね。子どもが結婚すれば、親の戸籍から自動的に抜けて(除籍されて)、新しく自分たち夫婦の戸籍を作ることになります。ですから、どんなに大家族であっても、1つの戸籍に入るのは数人程度と非常にミニマムです。

しかし、明治時代の戸籍はまったく違いました。 当時のキーワードは、旧民法に基づく「家(いえ)」制度です。

当時の戸籍は、個人の家族単位ではなく、「家」というグループ単位で管理されていました。そして、その家を統率する絶対的なリーダーが「戸主(こしゅ)」です。多くの場合、その家の一番年長である「お祖父さん」が戸主を務めていました。

この戸主を中心として戸籍が作られるため、1つの戸籍に入る人数がとにかく凄まじいことになります。

子どもが結婚しても、そのまま。 息子が結婚して、お嫁さん(戸籍には『息婦』と書かれます)をもらうと、お嫁さんは親の戸籍を抜けて、「お祖父さん(戸主)の戸籍」にそのまま入ってきます。

孫が生まれても、そのまま。 その息子夫婦に子ども(つまりお祖父さんから見た孫)が生まれれば、当然のように、その子もお祖父さんの戸籍に書き加えられます。

つまり、家長であるお祖父さんを筆頭に、その妻、息子夫婦、娘たち、孫、時にはひ孫や、戸主の兄弟姉妹までが、全員ひとつの戸籍にずらりと同居している状態になるのです。当然、戸籍は1枚の紙には収まらず、何枚も何枚も束になった「超ビッグファミリー」の戸籍が出来上がります。

現代の感覚ではありえない「妾(めかけ)」と「庶子(しょし)」

さらに、古い戸籍を読み解いていると、現代の感覚からすると文字通りありえないような記述に出会うことがあります。それが、当時の「一夫多妻」的な文化の記録です。

なんと明治の古い法律では、「妾(愛人)」を正式な家族として、同じ戸籍の中に入れることが認められていました。 そのため、戸主であるお祖父さんに本妻以外のパートナーがいると、戸籍に堂々とその女性の名前が載っているのです。身分の欄には、はっきりと「妾」と書かれています。

さらに、その女性との間に生まれた子どもは「庶子(しょし)」という身分で、同じお祖父さんの戸籍に記載されます。 本妻の子も、妾の子も、全員が同じお祖父さんの戸籍という一つの屋根の下に名前を連ねているわけです。今なら歴史ドラマの世界ですが、当時はこれが公的な記録として淡々と、しかし確かな役人の達筆な墨の跡で残されています。

最後に

私たちが普段、何気なく証明書として使っている戸籍ですが、こうして明治時代まで遡ってみると、当時の日本の「家族のカタチ」や、時代の空気感がリアルに伝わってきます。

セピア色に染まった分厚い戸籍の束をめくりながら、「この何十人もの大家族を、戸主のお祖父さんはどうやって養いマネジメントしていたのか」なんて、当時の生活や苦労に思いを馳せるのも、実はこの仕事の密かな面白さだったりします。

こうした、現代とは全く異なる複雑な古い戸籍を、「LEDライト付きのルーペ」で1文字ずつ正確に読み解いて、本当の相続人が誰なのかをパズルのように解き明かしていくのが、私たち専門家の腕の見せ所です。

少しマニアックな世界でしたが、楽しんでいただけましたでしょうか? それでは、また次回の雑学教室でお会いしましょう!

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