「デジタル遺言」が始まる?でも、スマホだけで簡単に作れません
2026/07/11
最近、「デジタル遺言が始まる」「遺言書が電子化される」といったニュースを目にした方も多いのではないでしょうか。
「これからはスマートフォンで遺言が作れるようになるの?」
「公証役場へ行かなくても済むようになるの?」
そのようなイメージを持たれる方も少なくないと思います。
しかし、現在検討されている制度の内容を見る限り、私は「紙がデジタルに変わること」と「遺言を作る手続が大幅に簡単になること」は別の話だと考えています。
現在の遺言制度
現在、一般的な遺言には、
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自筆証書遺言
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公正証書遺言
があります。
自筆証書遺言は法律で定められた方式を守らなければ無効になることがあり、公正証書遺言は公証役場で公証人と証人2人の立会いのもと作成します。
相続トラブルを防ぐという意味では、公正証書遺言は非常に優れた制度です。
デジタル遺言とは?
現在、国では遺言制度のデジタル化が検討されています。
遺言書そのものを電子データで作成・保管できるようにする制度で、紙の遺言書に代わる新しい仕組みとして期待されています。
ただし、**2026年7月現在、この制度はまだ利用できません。**法改正が進められていますが、実際に利用できるようになるのは今後の施行を待つ必要があります。
「スマホで簡単に遺言が作れる」は誤解です
ニュースだけを見ると、「スマホで遺言が作れる時代になる」と思われるかもしれません。
しかし、制度案を見る限り、私はそのような理解は少し違うのではないかと感じています。
遺言は、亡くなった後に大きな財産や家族関係に影響を与える、とても重要な法律行為です。
そのため、本当に本人の意思で作成されたものなのかを慎重に確認する必要があります。
現在検討されている制度でも、この考え方は変わりません。
原則としては、公証人が本人の意思を確認し、証人2人が立ち会うという仕組みが維持される方向で検討されています。
病気や身体の事情など、特別な事情がある場合には、オンラインで本人確認や意思確認を行える制度も予定されています。
しかし、これは「公証人による確認」が「オンラインになる」ということであり、確認手続そのものがなくなるわけではありません。
つまり、
「スマートフォンだけで数分あれば遺言が完成する」
という制度ではないと考えられます。
デジタル化のメリットはどこにあるのでしょうか
それでは、デジタル化には意味がないのでしょうか。
私はそうは思いません。
例えば、
・遺言書を安全に保管しやすくなる
・紛失や災害による消失の危険が少なくなる
・改ざん防止の仕組みを導入しやすくなる
・将来的には手続の効率化が期待できる
といった点では、大きなメリットがあるでしょう。
一方で、「遺言を作るための手間」が大きく減るかというと、そこまで大きな変化はないように感じています。
デジタルになっても、「内容」の重要性は変わりません
デジタル遺言が導入されると、「遺言書を作ること」自体は少し便利になるかもしれません。
しかし、それはあくまで作成方法や保管方法がデジタル化されるということです。
最も重要なのは、遺言書に何を書くかという「内容」です。
実際の相続では、
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財産の表示が不正確で相続手続が進まない
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遺留分への配慮が足りず相続人同士が対立する
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遺言の表現が曖昧で解釈をめぐる争いになる
といったケースは決して珍しくありません。
これらは、紙の遺言であってもデジタル遺言であっても変わらない問題です。
つまり、「デジタルだから安心」というわけではなく、法律的に適切で、実際に相続手続で使える内容になっているかが何より重要なのです。
相続には、それぞれのご家庭ごとに異なる事情があります。
誰に何を承継させるのか、遺留分への配慮は必要か、遺言執行者を指定した方がよいかなど、検討すべき点は少なくありません。
デジタル化が進んでも、遺言書の内容については、相続実務に詳しい専門家へ相談しながら作成することをおすすめします。
「作る方法」は変わっても、「良い遺言書を作るために専門家の助言が重要である」という点は、これからも変わらないでしょう。
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つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗
千葉県習志野市津田沼1-13-24-205
電話番号 : 047-406-5995
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