争族発生の事例
●母が死亡。父は既に亡くなっている。相続人は長男、長女、次女。父の死亡時、預金は
母が単独で相続したが、父名義の土地、建物はそのままにしている。母が亡くなって2年経っ
ても遺産が手つかずの状態であった。そんな中、長男の息子が父名義の土地の上に自宅を建
てたいと言い出し、いきなり遺産分割協議書に印鑑をついてくれと送ってよこしたので、長
女と次女が当事務所に相談にみえました。
●母は10年間介護施設に入所しており、長女、次女は面会に行ったり、生活用品の買い物
など
母の面倒を見ていた。長男は仕事が忙しく、また母との関係も良くない。面会も数回しか
来なかった。兄の介護への非協力的な態度から、兄妹間でも不満が重なり仲が良くない状態
でした。このような事情がある中、いきなり兄が全ての遺産を相続するとの遺産分割協議書
が送られてきたことで争族が発生。一方、長女、次女の意向としては、父が守ってきた土
地、建物を長男が引き継ぐことが一番良いと考えている。
●長男に対して、長女、次女のお気持ちを手紙でお伝えしました。お互いの気持ちを正直
にやり取りしたことで、兄妹仲も解決。土地建物は長男が引継ぎ、預貯金を長女、次女に取
得させることで解決しました。兄が作った遺産分割協議書は撤回してもらい、新しく上記の
内容で作り直しをしました。
●このケースの様に、生前、一部の兄弟がご両親の面倒を看てきたり、また、一部の人が
ご両親から援助を受けていたりすることは非常によくあることです。そうした状況や、人々
の気持ちを十分汲み取って、法定相続分ではなく、真に公平な遺産分割をすることが大事で
あると思い知ったケースでありました。