親の介護をした子の相続分は増える? ― 寄与分と特別寄与料の重要ポイント
2025/12/09
高齢の親を長年介護した場合、「ほかの兄弟より多く相続できるのでは?」という相談が非常に多くあります。民法では、相続人の公平を図るために「寄与分」「特別寄与料」という仕組みが用意されています。しかし実務では誤解も多く、「少し手伝っただけで寄与分が認められる」と考える方もいます。本記事では、日常的な介護・生活支援が遺産にどう影響するかを、条文や判例とともに整理します。
■ 寄与分とは?(民法904条の2)
寄与分は、相続人の中で特に被相続人の財産の維持・増加に貢献した人に、法定相続分以上を認める制度です。
典型例としては、
親の事業を無償で手伝った
生活費を仕送りしていた
親の治療費を継続的に立て替えた
などが挙げられます。
ただし寄与分は、どんな貢献でも認められるわけではありません。
「特別の寄与」が必要であり、単なる親孝行では足りないとされています。
■ 介護は寄与分と認められるのか?
実務では、介護が寄与分に認められるケースは増えています。
特に、家族が長期間にわたり実質的な介護を担った場合、認定の可能性は高まります。
**しかしポイントは「介護の具体的内容と期間」**です。
認められやすい例
5年以上、毎日ほぼ全ての介護を担当
同居して24時間対応
夜間の見守り、排泄介助、食事介助など
認められにくい例
週1回程度の送迎
時々の買い物や家の掃除
数ヶ月だけ介護を手伝った
■ 寄与分の請求手続き
寄与分は、相続人同士の話し合いで決めるのが基本です。
まとまらない場合、家庭裁判所の「遺産分割調停」で寄与分を主張できます。
■ 特別寄与料(民法1050条)
2019年の民法改正で導入された制度で、相続人以外の親族(例えば長男の妻など)でも介護貢献があれば請求できる点が特徴です。
これにより、老老介護や嫁介護が非常に多い現代に即した制度となりました。
判例参考
「長期間の介護が特別の寄与として認められるには、単なる家事援助の域を超える必要がある」とした傾向が、
最高裁平成11年6月11日判決により明らかになっています。
■ 実務アドバイス
介護日誌、領収書、通院記録などは重要証拠
介護サービス利用票、ケアマネ記録も有効
相続開始後に突然主張すると揉めやすい
■ まとめ
介護により相続分を増やすには、要件を満たす明確な証拠が必要です。
早めに記録を残し、相続の際は専門家へ相談することで不要な争いを避けられます。
----------------------------------------------------------------------
つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗
千葉県習志野市津田沼1-13-24-205
電話番号 : 047-406-5995
習志野市を拠点に遺産分割の提案
----------------------------------------------------------------------