つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗

相続税がかかると思っていたら「基礎控除内」で申告不要だった事例

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相続税がかかると思っていたら「基礎控除内」で申告不要だった事例

相続税がかかると思っていたら「基礎控除内」で申告不要だった事例

2025/12/01

相続のご相談のなかで最も多い誤解のひとつが、「うちは相続税がかかるはずだ」という思い込みです。インターネット上には“相続税対策”という言葉があふれ、数千万円の財産があれば相続税が課されると考えている方も少なくありません。しかし実際には、相続税が発生するご家庭は全体の約8%程度にすぎず、大多数の相続は「申告不要」で終わります。

本記事では、相続税がかかると思い込んでいたご家族が、実際には「基礎控除内」であり、適切な財産評価を行った結果申告不要になった典型的なケースを、実務的観点から5,000字で解説します。

■1 「相続税がかかるのでは?」という不安が生まれる理由

相続税については情報が氾濫していますが、多くは“税務署に提出が必要”“節税対策が重要”といった刺激的な文言が先行し、不安をあおるような内容も少なくありません。ご相談者が不安を持つ理由は主に以下のとおりです。

●① 不動産価格を「路線価」ではなく「実勢価格」で考えてしまう

例えば自宅が3,000万円で売れると言われていても、相続税の計算では「路線価(または固定資産税評価額)」を用いるため、評価額は2,000万円以下になるケースが多くあります。

●② 金融資産の合計額だけ見てしまう

預貯金や有価証券が多いと“こんなにあったら税金がかかるのでは”と不安になりますが、基礎控除は
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
です。例えば相続人が3名なら 4,800万円 まで非課税です。

●③「相続税は必ず申告するもの」と勘違いしている

申告が必要なのは“基礎控除を超える場合だけ”。むしろ、申告しないで済むケースの方が圧倒的に多いのです。

■2 本件のご相談概要:財産は多いが本当に課税対象か?

今回のケースは、千葉県船橋市の50代男性(長男)からの相談です。

亡父の相続

遺産として、不動産2件(自宅+貸地)、預貯金1,800万円

相続人は母・長男・長女の計3名

地元の不動産会社から「自宅は4,000万円の価値はある」と言われていた

長男は「合計で6,000万円以上になるはず。絶対に相続税がかかる」と不安

期限内(10か月)に申告が必要かどうか、急ぎ相談したいという内容

不動産価格の“実勢価格”をそのまま相続税評価と誤解しており、相談者様ご自身もインターネット上の相続税計算サイトに数字を入力して不安が増大した典型的なケースです。

■3 財産評価に着手:まずはすべてを「相続税評価」に置き換える

当事務所では実務の流れとして、まず以下のステップで財産評価を行います。

▼(1)不動産の評価

●自宅(土地)

実勢価格:4,000万円前後

固定資産税評価額:1,850万円

路線価による評価:2,020万円

※この時点で「実勢価格の約半分」で評価されました。

●貸地(借地権のついた土地)

借地人が居住している土地の場合、評価額は大きく下がります。

実勢価格:不明(借地権付きのため売却困難)

路線価評価:2,300万円

そこから借地権割合・底地割合の調整

評価額:1,200万円ほど

▼(2)預貯金の評価

亡くなった当日の残高を基準に評価します。

預貯金の総額:1,800万円(ほぼそのままの金額)

▼(3)生命保険金

生命保険には
500万円 × 法定相続人の数
の「非課税枠」があります。このケースでは母・長男・長女で3名なので 1,500万円が非課税。

亡父がかけていた保険金は1,200万円で、全額が非課税となりました。

▼(4)債務・葬儀費の控除

クレジット残債:10万円

医療費の未払い:30万円

葬儀費:90万円
合計130万円を控除します。

▼(5)評価額の総合計

ここまでを合計します。

自宅:2,020万円

貸地:1,200万円

預貯金:1,800万円

保険金:非課税のため計上なし
→ 合計:約5,020万円

ここから葬儀費等130万円を控除すると

実質評価額=約4,890万円

■4 基礎控除との比較:税務署への申告は不要

基礎控除額は
3,000万円 +(600万円×相続人3名)=4,800万円

本件の評価額は 4,890万円 であり、
わずかに超えてしまうようにも見えますが、貸地部分の評価でさらに調整が可能でした。

貸地の評価は「借地権割合」「底地割合」「借地人の権利内容」により変動します。実際の状況を確認したところ、

借地契約が古く、借地権割合が大きい

契約内容から、地主側の権利はやや制限が強い

境界未確定の部分がある

これらを反映した再評価により 貸地評価=1,100万円 に修正。

結果、全体の評価額は 4,790万円 となり、
基礎控除内に収まり、相続税申告は完全に不要 になりました。

相談者様が大きな不安を抱えていた一番の理由であった「相続税がかかって財産が減ってしまう」という心配は、正しい評価を行うことで解消されました。

■5 よくある“相続税誤解”と、実務上の注意点

●① 不動産を実勢価格で判断してしまう

→ 相続税は「路線価」や「固定資産評価」で判断するため、半額以下も珍しくありません。

●② 生命保険金の非課税枠を理解していない

→ 生命保険の非課税枠は非常に大きく、申告不要にできる要因になります。

●③ 10か月以内の申告は“提出必須”だと思っている

→ 基礎控除を超えなければ申告不要です。

●④ 不動産評価は「専門家により大きく変わる」

同じ土地でも、

借地・底地

私道

セットバック

崖地

間口や奥行
などに応じ、評価額が20~50%変わることがあります。

専門家が現地確認と法務局調査を行わないと、正しい評価はできません。

■6 実際のご家族の反応と、その後の相続手続

本件のご家族は、当初「相続税の申告が必要なのは仕方ない」と半ばあきらめていましたが、最終的には申告不要となり、費用・手間・時間のすべてが軽減されました。

申告書作成費用が不要に

税務署とのやり取りもゼロ

期限に追われるストレスから解放

遺産分割協議に専念できた

さらに正確な評価をもとに遺産分割協議を行った結果、相続人間の納得度も高まり、円滑な協議が成立しました。

■7 つだぬま相続相談室がサポートできること

当事務所では、相続税申告が必要かどうかの判断から、不動産評価、税理士連携、遺産分割協議書作成まで、一連の相続手続きをワンストップで支援しています。

「相続税が必要かどうか分からない」

「不動産が多いから税金がかかるはず」

「期限が迫っていて不安」

このような方は、評価だけでも早めにご相談ください。実際には申告不要となるケースは非常に多く、過度に心配する必要はありません。

■8 まとめ

相続税は“高額所得者のための税金”というイメージが先行していますが、実際には 大多数のご家庭では申告不要 です。正しい評価と正確な判断ができれば、相続税の負担は最小限に抑えられます。

今回のケースのように、

実勢価格と路線価の違い

生命保険金の非課税枠

不動産の詳細調査による評価減

を活用することで、申告の必要がないことが分かるケースは多くあります。

「相続税がかかりそう」と不安を感じたら、まずは専門家に評価を依頼することをおすすめします。誤った自己判断を避けることで、無駄な申告費用や余計なストレスを抱えずに済みます。

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つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗
千葉県習志野市津田沼1-13-24-205
電話番号 : 047-406-5995


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