相続人に精神疾患者がいる場合の遺産分割について知ろう【津田沼の行政書士事務所】
2024/04/04
事案紹介
お父様が亡くなり、相続人は 配偶者と長女、長男 でした。ご相談者は遺産整理を円滑に進めたいとのことで、私たちにご相談にお見えになりました。
お話を伺ったところ、ご長男は統合失調症を患っており、現在船橋市内の病院に入院中とのことでした。このようなケースでは、精神疾患がある相続人の権利を守りつつ、遺産分割を進める方法を慎重に検討する必要があります。
精神疾患がある相続人と遺産分割
成年後見人の選任が原則
認知症や統合失調症など精神疾患を持つ相続人がいる場合、基本的には 成年後見人の選任 が必要とされます。成年後見人は裁判所が選任し、被後見人の代理人として遺産分割協議に参加します。これにより、判断能力が十分でない相続人の権利が守られます。
成年後見制度の課題
しかし、この制度にはいくつかの課題があります:
- 成年後見人は、原則として被後見人が存命中ずっとつくため、毎月の費用がかかる
- 遺産分割のためだけに成年後見人を利用することは困難
- 制度改正の議論はあるものの、すぐに遺産分割目的での簡易的な後見人制度が整うわけではない
こうした制約のため、軽度の精神疾患で判断能力がある場合は、成年後見人を立てずに遺産分割を進められるケースもあります。
精神疾患があっても遺産分割可能な場合
私はこれまでの経験から、精神疾患があってもその程度によっては問題なく遺産分割に参加できると考えています。具体的には、本人が必要な情報を理解し、書類の記入や意思表示ができる場合です。
今回のご長男も、病院に面会し、書類に住所や氏名を書いていただいたところ、スムーズに記入していただけました。このため、遺産分割を進められると判断しました。
実際の対応と成果
その結果、以下の手続きが通常通り進められました:
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産の名義変更
- 銀行口座の解約・精算
これにより、相続人全員が公平に権利を行使でき、遺産整理は無事完了しました。奥様からも「安心して遺産整理ができた」と喜んでいただけました。
まとめ
精神疾患のある相続人がいる場合でも、判断能力を正確に評価することで、成年後見制度を必ずしも利用せずに遺産分割を進めることが可能です。
制度上の課題や制約を理解しつつ、個別の状況に応じた柔軟な対応が重要です。今回の事例は、軽度の精神疾患があっても適切なサポートと確認により、円滑な遺産整理が可能であることを示しています。
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つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗
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電話番号 : 047-406-5995
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