つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗

【習志野市の解決事例】特定の相続人だけが生前贈与を多く受けていたため、遺産分割で“特別受益”が争点となったケース

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【習志野市の解決事例】特定の相続人だけが生前贈与を多く受けていたため、遺産分割で“特別受益”が争点となったケース

【習志野市の解決事例】特定の相続人だけが生前贈与を多く受けていたため、遺産分割で“特別受益”が争点となったケース

本件は、習志野市で相続・遺言に関するお悩みを抱えていた方からのご相談事例です。
行政書士が状況を整理し、必要な相続手続きを一つずつ進めることで解決に至りました。

■1.はじめに

相続の相談現場で最も多いトラブルの一つが “生前贈与をどう扱うか” という問題です。
特定の相続人だけが多額の援助を受けていたり、生活費の援助・住宅取得資金・事業資金など、過去の金銭の流れが相続時に突然問題となり、「あれは特別受益だ」「いや、贈与ではない」など主張が食い違うケースは非常に多く見られます。

今回は、兄弟のうち一人だけが“数百万円の住宅取得資金援助”を受けていたことが相続時に争点となった典型的なケースをご紹介します。

■2.相談の背景

●登場人物

被相続人(母):80代。

長男A:県外在住。

長女B:地元在住。母と頻繁に連絡を取る。

二男C:母から過去に住宅取得資金500万円の援助を受けていた。

家族関係には特段の不仲はなく、母の生前は比較的穏やかな関係が続いていました。しかし、母の他界後、遺産分割協議が始まると、過去の生前贈与をめぐり兄弟間で急速に対立が深まっていきました。

■3.争点となった“住宅取得資金500万円”

母は、10年前に二男Cが自宅を購入する際、「頭金の一部に使いなさい」として500万円を渡していました。
これが相続時に大きな問題となります。

●長男A・長女Bの主張

明らかに高額の援助

“住宅取得資金の贈与”は典型的な特別受益

相続分を算定する際に持ち戻すべき

このままではCが大きく得をしてしまう

●二男Cの主張

母から「返さなくていい」と言われた

生活状況から援助が必要だっただけ

兄弟だってそれぞれ母に迷惑をかけていた

今さら持ち戻しは不公平

ここから協議が難航し、「特別受益の対象かどうか」「金額はいくらで評価するのか」という典型的な争点が浮き上がりました。

■4.特別受益とは何か?(簡潔に)

民法では、特定の相続人が生前贈与や遺贈を受けている場合、それを “特別受益” として遺産に持ち戻し、相続人間の公平を図る仕組みがあります。

●特別受益の代表例

住宅取得資金

結婚費用

事業資金

高額な生活費補助

今回のケースは“住宅取得資金”であり、典型的に特別受益として扱われやすい項目です。

■5.当事務所が介入したタイミング

兄弟間での協議が平行線となり、長男A・長女B側から
「兄弟で話し合っても解決しない。専門家としてどう整理できるか」
という相談が入り、当事務所が介入しました。

■6.生前贈与の証拠収集(最重要ポイント)

まず着手したのは、500万円の贈与が事実かどうか の証拠確認です。

●確認したもの

通帳の振込履歴

メールや手紙の文面

贈与当時の状況を知る親族の証言

住宅購入時の書類(領収書・契約書)

“贈与契約書”の有無(今回はなし)

証拠上、

母の口座からCの口座へ500万円が振り込まれている

「家を買うときに助けるよ」というメモ書きが残っている
という事実が確認され、贈与自体はほぼ立証できる状態でした。

■7.特別受益か否かの判断

贈与が事実であっても、特別受益になるとは限りません。
そこで、下記の観点から分析しました。

①贈与の目的

住宅購入のため
→ 特別受益となる典型例

②金額の大きさ

500万円
→ 生活費レベルではなく“財産形成”に関わる

③相続人間の公平

兄弟の中でCのみ高額援助を受けている
→ 持ち戻しが合理的

結論として、この500万円は特別受益として扱われる可能性が極めて高い と判断しました。

■8.協議の進め方:調停を避けるための戦略

証拠状況や過去の判例を踏まえ、C側にも事実関係を丁寧に説明し、こちらが強硬姿勢に出れば調停でほぼ不利になることを説明しました。

ただし、相続は“法律だけでは割り切れない部分”があるため、以下のように柔軟な和解案を提示しました。

■9.提示した解決案

●案①:500万円を全額持ち戻す

→ 法律的には最も妥当
ただしCの抵抗が強い可能性

●案②:500万円の一部だけ持ち戻す(例:300万円)

→ 生前の事情(当時の生活困難など)を考慮した折衷案
→ 実務では採用されやすい

●案③:持ち戻しはするが、代償金分割の方法を柔軟に

例:

分割払い

不動産評価額での調整

現金相続分との組み合わせ

いずれも “兄弟間の亀裂を深くしない” ことに配慮して設計しました。

■10.最終的な合意内容

数回の協議を経て、最終的には以下の形にまとまりました。

生前贈与500万円のうち300万円を特別受益として持ち戻す

遺産全体を相続人3名で法定相続分どおりに按分

Cは長男A・長女Bに対し、代償金として一定額を支払う

支払いは一括ではなく、半年以内の二回払いとした

調停に進まないことを相互に確認する覚書を作成

Cも「300万円なら納得できる」という判断に至り、全員が歩み寄っての合意となりました。

■11.このケースから学べるポイント3つ

① 高額な生前贈与は“特別受益”として扱われる可能性が高い

とくに

住宅取得資金

事業資金

大学の学費
などは“将来の財産形成に関連”するとされ、特別受益と認定されやすい分野です。

② 証拠を確保できるかが勝敗を決める

通帳・領収書・メモなど、わずかな証拠が実務では決定的な意味を持ちます。

③ 法律論だけでなく、兄弟間の関係調整が必須

相続は“法律問題+家族関係問題”です。
そのため、専門家の介入によって感情を整理し、柔らかい着地点を提示できることが極めて重要になります。

■12.まとめ

今回のケースは、相続の現場で非常に多い「生前贈与の持ち戻し(特別受益)」が焦点となった典型例でした。
高額な援助を受けた相続人がいる場合、その扱い次第で相続人同士の不満が急速に膨らみ、話し合いが完全に止まってしまうことも珍しくありません。

つだぬま相続相談室では、

生前贈与が特別受益に該当するか

どこまで持ち戻すべきか

合意を得られる落とし所の提示
など、豊富な解決経験をもとに適切なアドバイスを提供しています。

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