【解決事例】「身寄りのない大叔母の遺言」と「遺言執行者の辞退」を乗り越え、渋谷の一等地を次世代へ繋いだ資産承継
はじめに
「遺言があるので、その通りに手続きすれば大丈夫ですよね?」
ご相談者様からは、このようなお話がありました。
しかし実際には、
・遺言執行者の辞退
・遺贈と相続の混在
・相続人の変動
といった複数の問題が重なっていました。
今回は、東京都渋谷区の不動産をめぐる、遺贈と相続が複雑に絡んだ事例をご紹介します。
事案の概要
本件は、依頼者様の大叔母が亡くなったことから始まります。
大叔母は、公正証書遺言を作成しており、
数名法定相続人ではない親族に対して、不動産の持分を遺贈する内容となっていました。
対象となる不動産は渋谷区の住宅地であり、
持分(所有権の一部)といっても数千万円規模の価値があるものでした。
遺言の背景(なぜこのような内容になったのか)
本件の理解には、遺言者の家族関係が重要です。
遺言者は養女であり、戸籍をたどっても実母は判明しましたが、実父は最終的に特定することができませんでした。
また、生涯独身で配偶者や子どももいなかったため、法定相続人はほんの一握りの人々しかいませんでした。
そのためだったからでしょうか、遺言によって身近な親族へ財産を分け与える内容となっていました。
問題①:遺言執行者の辞退
遺言では、ある税理士が遺言執行者として指定されていました。
しかし、その税理士は病気を理由に就任を辞退しました。
遺言執行者が不在の場合、遺言の内容を実現することができません。
そのため、家庭裁判所に対して遺言執行者の選任申立てを行い、
当職が遺言執行者として選任されました。
問題②:遺贈と相続の重複
さらに状況を複雑にしていたのが、相続関係の変動です。
持分の一部を遺贈されていた依頼者様の母が、半年前に亡くなっていました。
その結果、
・母が受けるはずだった遺贈分
・母の相続財産としての(元々持っていた持分も含めて)持分
これらを、兄弟3名で相続する必要が生じました。
また、兄弟のうち2名は、大叔母から直接遺贈も受けていました。
つまり、
遺贈と相続が同時に発生し、権利関係が複雑に絡み合っている状態でした。
問題③:共有状態と将来リスク
このまま遺言どおりに手続きを進めると、
・複数人での共有状態
・持分が細分化された不動産
が生じることになります。
特に、依頼者様のご家族の中には金銭管理に不安がある方もおり、
固定資産税の負担など将来的なリスクが懸念されていました。
解決方法:承継先の集約と再設計
本件では、単に遺言を実行するのではなく、
将来を見据えた承継方法の再設計を行いました。
具体的には、
・遺贈および相続を踏まえた遺産分割協議を実施
・不動産の持分を依頼者様に集約
・一部の持分については、次世代(依頼者のご子息)へ贈与する形に整理
という形で全体を再構成しました。
解決結果
その結果、
・土地および建物は
依頼者様とそのご子息の共有
という形で整理され、
将来的な管理・処分のしやすい状態を実現することができました。
本件のポイント
今回の事例の重要なポイントは以下の通りです。
・遺言執行者が辞退すると、家庭裁判所での選任が必要になる
・遺贈と相続が重なると、権利関係は非常に複雑になる
・法定相続人がいない場合、遺言の重要性が高まる
・遺言どおりに進めるだけでは、最適な結果にならない場合がある
・将来を見据えた承継設計が重要
ご相談について
本件は、長年お付き合いのあるご家族からのご相談でした。
そのため、単なる手続きとしてではなく、
ご事情や今後の生活も踏まえた形で、最適な解決方法を検討しました。
まとめ
遺言がある場合でも、
・遺言執行者の不在
・相続人の変動
・不動産の共有化
などにより、手続きが複雑になることがあります。
相続は単に手続きを終えるだけでなく、
その後の生活や管理まで見据えて考えることが重要です。
複雑な相続・遺贈でお困りの方は、専門家へご相談ください。
