自筆証書遺言の検認の手続きと遺産分割協議の実例
●Aさんのお母様が亡くなったとの事で当事務所におみえになりました。相続人はAさん(長
男)と長女。財産内容は、土地2筆、預貯金、合計160百万円ほど。
●封印してある遺言書をもってこられました。また、その遺言をかくにあたって公証役場に相談
した形跡と下書きのようなものもお持ちでした。その下書きによると「全ての財産を長男に相続
させる」とあります。また、遺言執行者に長男を指定しているようです。長女とも仲良くしてお
り、そのような内容になる心当たりはないとのことでした。例えのような内容だったとしても、
二人きりの兄妹であり二人で均等に分けたいというご希望でした。
●自筆証書遺言があった場合、基本は遺言通りに執行しなければなりませんが、相続人全員と遺
言執行者の合意があれば、遺産分割協議で進めることも可能と解されています。今回は遺言執行
者は長男のようですし、そのように説明させていただきました。ただし、遺言書は必ず裁判所で
検認の手続きを経なければなりませんので、その手続きのご説明もしました。
●同業の事務所の中でも検認の経験をされているところは少ないと思いますが、幸い私は義理の
父が自筆証書遺言を残して(原案は私が作ったのですが)亡くなり、検認の手続きを経験してい
たので、家庭裁判所への家事審判申立書のサンプルなど全て持っていましたので役に立ちまし
た。まず、Aさんと今回の契約をして、その中で検認手続きのサポート、遺産分割協議書作成の
業務をうたいました。
●被相続人の全ての戸籍収集、ご兄妹の現在の戸籍を収集し、家事審判申立書のお手伝いをし裁
判所に出していただきました。1週間ほどして家庭裁判所からAさんのところに連絡があり、追っ
て検認期日通知書が兄妹にそれぞれ送られてきて、2週間後に裁判所に来てくださいとの内容で
した。
●裁判所の前で私が待っていると、40分程度でお二人が出てきました。裁判所の会議室で遺言書
が開封され、やはり内容は「全ての財産を長男に」というものでした。
●その後、いつもの様に法定相続情報の取得、財産調査、遺産分割協議書の作成、相続登記、金
融機関解約と進み、兄妹で平等に分割することができました。
●検認は分からない事が多いですが、家事審判申立書の書き方などは裁判所のホームページにの
っており、意外と簡単ですが、分からない事があれば当事務所までご連絡ください。