つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗

公正証書遺言が必要な人とは?特徴解説

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『公正証書遺言を作るべき人・作らなくてよい人——実例でわかる“判断の基準”』

『公正証書遺言を作るべき人・作らなくてよい人——実例でわかる“判断の基準”』

2025/12/02

■ はじめに:遺言は「誰でも公正証書が正解」ではない

相続手続きの相談を受けていると、ほぼ必ず最初の10分以内に質問されることがあります。

「遺言って、公正証書にした方がいいんですよね?」

この質問は一見すると単純ですが、実務では注意が必要です。

確かに、公正証書遺言は
●偽造・変造が不可能
●公証人が関与するため信頼性が高い
●家庭裁判所の検認が不要
●文字の間違いなどによる無効リスクがほぼゼロ
という意味で“最強の遺言”であり、相続トラブルを避けるうえで非常に有効です。

しかし、だからといって
「公正証書遺言=誰にでも最適解」
とは限りません。

実際には、財産の内容、家族関係、費用の負担、作成の手間、今後の変更可能性など、複数の要素を総合して判断しないと失敗します。

たとえば、資産100万円で相続人が1人の人が、立派な公正証書遺言をつくる必要はほぼありません。
逆に、財産が数億円あるのに自筆証書だけで済ませてしまい、後に大紛争になったケースも珍しくありません。

本記事では、
「公正証書遺言を作るべき人」「自筆証書でも十分な人」
の違いを、実際の相談事例を交えながら解説します。

あなたやご家族が遺言を検討する際の“判断基準”としてお役立ていただければ幸いです。

◆ 公正証書遺言を作るべき人の特徴

① 相続人同士が不仲・疎遠になっている

遺言を公正証書にする最大のメリットは、
**「無効主張されにくいこと」**です。

家族関係が崩れているケースでは、
「本当に本人が書いたのか?」
「誰かに書かされたのでは?」
「認知症で判断能力がなかったのでは?」
といった議論が必ず起こります。

特に自筆証書遺言の場合、以下のような突っ込みを受け、実際に争いになる例が後を絶ちません。

・筆跡の変化
・日付の記載ミス
・余白の開き
・加筆の跡
・訂正印の不備
・保管状況の疑義

これに対して、公正証書遺言で作成しておけば、
●公証人が本人の意思確認を行い
●法的に有効な形式で作成され
●原本が公証役場に保管される
ため、「本人の本心ではない」と主張される余地がほとんどありません。

【実例①:習志野市・70代男性】

家族構成:
・妻
・長男
・次男(20年絶縁状態)

財産:
・自宅(土地+建物)
・預貯金700万円
・車

長男は近くに住み、父の介護を一手に担っていた。
一方、次男は20年音信不通で、連絡もほとんど取れない状態。

父の希望:
「家は長男に渡したい。預金は半分ずつでいい。」

しかし、次男との関係性を考えると、
・自筆証書では“長男の誘導”を疑われる
・遺留分侵害の主張が出る可能性も高い
という懸念があり、公正証書遺言を提案。

結果:
父の判断能力確認も公証人が行ったため、
死後一切揉めず、長男・次男ともにスムーズに手続きを完了。

もし自筆証書を残していた場合、ほぼ確実に
「父の意思能力の有無」
「長男による誘導の有無」
が争われていたであろう典型例です。

② 不動産を特定の相続人へ確実に渡したい人

不動産は相続で最も揉める財産です。

理由はシンプルで、
分けにくいから。

1つの家に3人の相続人がいれば、
●売却して分ける
●誰かが住む
●共有にする
の選択が必要になります。

しかし、共有は揉める原因になりがちで、
「誰が修繕費を出すのか?」
「売りたい人と売りたくない人の対立」
「固定資産税の分担」
など長期化するトラブルが多発します。

だからこそ、
「この家は長男に」
「この土地は妻に」
など、明確に相続先を指定したい人は公正証書遺言が安全です。

【事例②:船橋市・80代女性】

財産:
・自宅
・アパート
・預貯金1,500万円
相続人:子3名(長女だけ同居)

母の希望:
「同居してくれた長女に自宅を。アパートは長男と次女で分ければいい。」

自筆証書を希望していたが、
・不動産の表示を正しく書く必要がある
・書き方ひとつで無効になる
と説明したところ、公正証書で作成することに。

結果:
公正証書遺言では不動産の登記事項をそのまま写すため、
分割が非常にスムーズだった。

③ 財産が多い・相続人が多い

財産規模が大きいほど争いは起きやすく、
「遺言に不備がないか?」
という視点で細かくチェックされます。

特に、
●不動産+預貯金+有価証券
●複数の銀行の口座
●死亡保険金
など、財産の種類が多いと、
自筆証書遺言では書き漏れ・表現ミスが危険です。

また、相続人が3人以上の場合、
利害が対立しやすく、
「遺言の形式的ミス」を理由に争われることも多いです。

④ 再婚家庭・前妻の子がいる家庭

これは実務上、最も公正証書遺言が必要なパターンです。

●後妻
●前妻の子
が相続人になるため、
ほぼ確実に利害が対立します。

【事例③:典型的な再婚家庭】

父:再婚
相続人:
・後妻
・前妻の子2人

財産:
・自宅(後妻と住んでいる)
・預貯金900万円

父が遺言なく死亡した結果…
→ 後妻は「家に住み続けたい」
→ 前妻の子は「自分たちに取り分がある」

協議不成立 → 調停へ。
長期化し、後妻の精神的負担は甚大。

これは、
●後妻の居住権(配偶者居住権)
●前妻の子への代償金
などを公正証書遺言で整理しておけば防げた案件。

◆ 自筆証書遺言で十分な人の特徴

① 相続人が1人or揉める可能性がゼロに近い

例:
・夫が死亡 → 妻が唯一の相続人
・妻が死亡 → 子が1人だけ
・相続財産が預貯金のみ

このような場合、公正証書遺言は必須ではありません。

費用をかけず、法務局保管制度を使った自筆証書遺言で十分です。

② 財産が少額で、ほぼ現金・預金のみ

自筆証書は、
・住所を書く
・日付を書く
・印鑑を押す
という最低限の形式が守られていれば有効です。

法務局の「自筆証書遺言保管制度」を利用すれば、
●紛失しない
●改ざんされない
●家庭裁判所の検認も不要
と、公正証書に近い安心感があります。

◆ 公正証書 vs 自筆証書——比較表

公正証書遺言

自筆証書遺言

費用

高い(数万円〜)

無料

手間

公証役場に出向く必要

自宅で書ける

証拠力

極めて強い

弱い(無効リスクあり)

検認

不要

必要(保管制度除く)

紛失リスク

なし

あり

変更のしやすさ

再作成が必要

すぐ書き換え可能

◆ まとめ:公正証書遺言は“家族の状況”で選ぶもの

公正証書遺言が「最強」であることは間違いありません。
ただし、
●費用
●手間
●変更のしづらさ
といった面も考慮すべきです。

結論としては、

【公正証書遺言を作るべきケース】

✔ 相続人が不仲
✔ 財産が多い/複雑(特に不動産)
✔ 再婚家庭・前妻の子がいる
✔ 特定の相続人に多く渡したい
✔ 認知症の心配がある
✔ 自分の意思を強固に残したい

【自筆証書で十分なケース】

✔ 相続人が1人
✔ 財産が少額で預金のみ
✔ 家族が仲良く、争いの可能性がゼロ
✔ 変更の可能性が高い

◆ つだぬま相続相談室からのご案内

遺言は「書けば安心」ではなく、
“その人の家族関係に合った方法を選べるか” が重要です。

同じ財産でも、
「家族関係」が違えば、
最適な遺言の形はまったく変わります。

つだぬま相続相談室では、
●家族構造
●財産内容
●希望
●争いの可能性
を丁寧にヒアリングし、
最も安全で確実な遺言の形をご提案しています。

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つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗
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電話番号 : 047-406-5995


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