つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗

相続の落とし穴:ネット銀行の“自動積立設定”が遺産整理を難航させる理由

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相続の落とし穴:ネット銀行の“自動積立設定”が遺産整理を難航させる理由

相続の落とし穴:ネット銀行の“自動積立設定”が遺産整理を難航させる理由

2025/11/25

相続の落とし穴:ネット銀行の“自動積立設定”が遺産整理を難航させる理由

(※他の士業もほぼ取り扱っていない最新ニッチテーマ)

 

■はじめに――「ネット銀行の自動設定」が相続の盲点に

相続の実務では、銀行口座の凍結手続きや残高証明の取得は一般的な業務です。しかし、近年増えている 「ネット銀行の自動積立」や「自動入金サービス(スイープ)」 は、従来の相続手続きとは異なる独自の仕組みを持つため、解約方法も確認方法も極めて複雑です。

ところが、この問題は弁護士・司法書士・行政書士のいずれも積極的に扱っておらず、どの事務所のブログでもほぼ解説されていません。
実務で非常に厄介なのに、誰も体系化していない“完全なブルーオーシャン”の相続テーマです。

本記事では、この「ネット銀行の自動積立設定が相続でどのような問題を引き起こすのか」を具体例とともに解説します。

 

■1. ネット銀行に多い「自動積立」「スイープ」の何が問題か?

ネット銀行では、利便性のために次のようなサービスが一般的に利用されています。

給与口座からネット銀行へ毎月自動で送金する設定

普通預金から定期預金へ自動で積立するサービス

カード利用額を自動で引き落とす連携設定

PayPay/楽天Payなどのチャージ連携

投資信託の自動積立設定

これらは、生前は非常に便利ですが、相続時には次のような厄介な問題を引き起こします。

 

▼問題① 銀行口座が凍結されても「連携サービスだけが止まらない」ことがある

一般的な銀行は口座凍結で自動引落も即停止しますが、
ネット銀行はサービスごとに運営会社が異なるため、連携がバラバラのまま生きているケースが多数あるのです。

 

▼問題② 相続人が自動設定の存在に気づかない

ネット銀行は紙の通帳がありません。
そのため、

何にいくら積立しているのか

どのサービスと連携しているのか

定期預金が複数組まれているのか

などが、相続人からはほとんど分かりません。

特に高齢者がネット銀行を利用していた場合、相続人が全容を把握できないケースが多発しています。

 

▼問題③ 銀行側もコールセンター任せで、担当窓口が存在しない

ネット銀行は店舗がなく、相続専用窓口も存在しない銀行が数多くあります。

メール問い合わせ

チャットボット

相続書類を郵送

このような“完全非対面”の手続きが多いため、相続人にとって非常にストレスの大きい作業となります。

 

■2. 実際に起きたトラブル事例(実務に極めて近い形で再構成)

 

●事例1:自動積立が止まらず、残高が不足してカード料金が遅延

習志野市在住のAさん(70代)が亡くなり、相続人がネット銀行の口座を凍結しようとしたところ、実は毎月2万円の定期預金積立が行われていました。
ところが、

口座凍結されても積立が解約されていなかった

引落元クレジットカード会社には停止連絡が届かず

結果として、クレジットカードの支払いが遅延。
相続人が滞納通知を受け取るまで誰も気づかないという事態に。

 

●事例2:投資信託の自動積立が継続していた。停止処理ができず2か月放置

亡くなったBさんはネット銀行で投資信託の自動積立をしていました。
相続人が問い合わせると、

銀行窓口「投資会社に連絡してください」

投資会社「銀行に停止してもらってください」

という“たらい回し”が発生。

その間にも自動積立は継続し、相続開始後に購入した投資信託の扱いが不明確になりました。

実はこれ、「相続財産か否か」「解約するなら相続人全員の同意が必要か」など、
法律上の扱いも非常に曖昧なのです。

 

●事例3:自動入金サービスにより、故人以外の別口座から振込が継続

ネット銀行によっては、給与口座や他銀行から自動的に毎月入金される仕組みがあります。
これが相続発生後も止まらず、

故人とは無関係の口座から資金が動いてしまう

相続財産の計算が混乱する

相続人が誤って解約しトラブルになる

など、非常にやっかいな状況に陥ります。

 

■3. ネット銀行の相続で“本当に必要な実務対応”とは

●① まずは「自動設定の洗い出し」が最重要

相続人が把握すべき項目は次の通りです。

定期預金の本数

自動積立の有無

投資信託との連携

クレジットカードや電子マネーとの紐付け

スイープ(自動入金・自動振替)の設定

ポイント自動交換

外貨預金の積立

これは紙の通帳がないため、銀行側の情報開示に全面的に依存するしかありません。

 

●② 自動設定の停止は、銀行と提携会社の両方に連絡が必要な場合がある

ネット銀行相続の最大の落とし穴がこれです。

銀行だけ停止しても
→ 連携先サービスが生きている
連携先だけ停止しても
→ 銀行側に履歴が残っている

この“二重構造”ゆえに、対応が複雑になります。

 

●③ 相続手続きは「時間がかかる」前提で動く

ネット銀行は対面相談ができないため、以下の対応に時間を要します。

本人確認

相続書類の郵送

チャットやメールでの追加資料指示

各種サービス解除の照会

通常の銀行の2~3倍かかるケースも珍しくありません。

 

■4. なぜこのテーマは“他士業も扱わないニッチ”なのか?

理由は3つあります。

●① 実務が複雑で利益になりにくい

自動設定の解除は手間が多いのに報酬に結びつきにくい。

●② 各銀行ごとに仕様がバラバラ

専門知識が蓄積しにくく、体系化されづらい。

●③ 「相続手続き」の範囲外と考える士業が多い

本来は手続きと資金移動管理の中間に位置するため、担当者の判断も分かれます。

だからこそ、
取り扱えば他事務所との差別化につながる
というメリットも大きいのです。

 

■5. まとめ:ネット銀行の自動設定は“これから増える相続トラブル”の筆頭

ネット銀行の相続は、今後さらに増加します。
しかし、自動設定や連携サービスが複雑化しているため、従来の銀行相続では想定していなかった問題が次々に起こります。

・自動積立の確認
・スイープ設定の把握
・投資信託との連携の停止
・クレジットカードや電子マネーの紐付け確認

これらはどれも、相続人の“気づき”がないと手続きが進まない内容です。

他の士業がまだ取り組んでいない今こそ、
ネット銀行特有の相続対策を解説することは、大きな差別化ポイントになります。

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つだぬま相続相談室 行政書士 江川二朗
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